五反田駅西口。
その時、僕は五反田駅西口にいた。M性感に行くためだ。
何日も前。
用事で東京に行くことになった僕は「せっかくだし風俗に行こう!」と考えた。わざわざ500kmも離れた場所に行くのだから、そういう楽しみがないと。
僕の中に浮かんだ選択肢は2つ。「ピンクサロン(以下ピンサロ)ではしご。またはダブル」か「M性感」だった。
しかし、この選択肢が出てきて10分もした時点で前者の方は消えかかっていた。
ピンサロは楽しい。本当に楽しい。気持ちいいのではない。楽しい。だけれども、その時はどこか自分の中に「冷め」のようなものがあった(これを書いている今はすごく行きたい)。
というわけでM性感に決めた。
M性感とは男性が受け身になってサービスを受ける風俗店だ。マゾヒスティックな男性じゃなくても行ってもいい。でも多分自分はマゾヒスティック。
インターネット社会に生きる人間なのでパソコン、タブレット、スマートフォンを駆使し情報をかき集めていく。風俗情報サイトに会員登録もした。ぴゅあらばである。
「状況によっては石橋を叩きまくって渡る」人間なので、とにかく叩きまくる。いくらレビューが多くても半年以上前の物は読まずに、とにかく”鮮度”にこだわる。評価が低いのはすぐ除外。業種とエリアで絞り込んでいく。そうしていくと、いくつかの情報が浮かび上がってきた。
それを軽くまとめると、
・M性感は基本的におさわりなし
・店舗型のM性感は東京にはあまりなさそう
・割と高い
であった。
「割と高い」は別に問題ではなかった。「おさわりなし」も、まぁいいかなと思った。
問題は「店舗型がなさそう」ということだった。「店舗型がない」ということは「ラブホテルを利用しなければならない」ということである。
困った。
ラブホテルの使い方なんて分からない。分からない。値段はいくらするのだろう?チェックインの方法は?チェックアウトは?精液を部屋中に飛ばしたら?
何もかも分からなかった。不安になった。M性感に行こうかどうか不安になった。でもイキたい。
そうこうしていると、1つのお店が見つかった。
このお店は五反田にあるのか。ここもラブホテルを利用するタイプ。ほぅ、ここは「待ち合わせ型」というのもあるのか。所定の場所で待ち合わせて、そこからラブホテルに行く感じなのか。
正直、この時点であまり行く気はしなかった。けれども消去法で行けそうな店を探していくと、ここも含めて数軒しかなくなっていた。
店を「ど♪れ♪に♪し♪よ♪う♪か♪な♪」で決める。右人差し指をパソコンの画面に向けリズミカルに動かす。五反田の店だった。
どうしよう。行ってみるか。それとも行かないか。イクかイカないか……。
――行こう。
店のホームページを熟読する。このお店は「男根の強化」をコンセプトにしているらしい。なるほど。
どの店もそうなのだが相手をする女性の顔は見せない。当然だ。僕はとにかく胸が大きいかどうかで判断をする。貧乳も好きです。2人が浮かんだ。当日はこの2人を軸に予約しよう。
当日。伊丹発羽田行の飛行機に乗り込んだ僕は緊張と興奮が混在していた。
機内で飲んだ、りんごジュースは美味しかった。
用事もほどほどに済ませた僕は、品川駅にいた。
続